父の実家、松本の家からは歩ける範囲には温泉こそないものの、車があれば信じられないほどたくさんの観光地へひょいっと出かけることが出来ます。自分の実家とは言え、こういう拠点を80を過ぎた今の今まで、管理・保持してくれていた父には本当に感謝です。
ちゃんと受け継いでいけるかどうかは、精神的にも経済的にもちょっと自信がないけど、、、、幸い、ポチがとっても気に入ってくれているので、なんとか家族のためにも頑張れたらな、と、とりあえずは思っている次第。
さて、今回はその家から車で1時間も走ればついてしまう、奥飛騨温泉郷へ。とても良質の温泉がうじゃうじゃ湧く(笑)この隠れた桃源郷には、その露天風呂のバラエティさで有名な「ひらゆの森」だとか、平湯の大御所「湯元 長座」、大型なのに泉質の良い「ガーデンホテル焼岳」や、露天風呂の眺望がウリの「槍見館」などたくさん有名どころがありますが、それ以外にも豊富な湯量(かけ流しの露天が維持できる!)と「飛騨牛」頼み?の良い宿がたくさんあります。
旅コンシェルジュの私(誰がよ?・爆)から言わせれば、もっともっと賑わって良いハズのとこなんだけどなぁ・・・。アクセスが確かに大変かもしれない、でもだからこその醍醐味がある・・・しかし那須や伊豆なんかと比べると町全体の戦略が・・・地味( ;∀;)(・・個人的には秘密でいいんだけどね)。ふもとの高山はガイジンさんに大人気なので、むしろ彼らのほうが知っていますよね。
で。今回のお宿は毎日美味しそうなお店やら泊まりたい宿やらググりまくり、ヒマがなくても蔦屋書店(スタバ付き)に入り浸って情報収集する私でも、実は知らなかった(たいしたことないね、私)(^▽^;)、「料理旅館 奥飛騨山草庵 饗家」さん、すごく良かったのでご紹介します!!
松本から158号線で上高地方面へ。途中大型バスが通るにはちょっとキツイ(てか、そんな道でその大型バスと対面するこっちがキツイ・笑)きびしめの道が続きますが、(父は通るたんびに、昔落ちた車を知っているから怖い怖い、と必ず言います・汗)
その途中の道の駅「風穴の里」はその前にあるカフェ(おそばと焼き菓子が美味しい「ぐりんでる」)含めて、なかなか使えるところ。要チェックですよ!そのまま 山道を上へ上へと上がり、上高地行きとの分岐点で一般車は必ず高山方面へ。(上高地へは一般車では通行出来ないので。)
昔は野麦峠より大変だったという安房峠越えも、今はトンネルで一気にスルー。それを出たところにあるレストランでまずは飛騨牛ランチです。(冬には団体のスキー客を全部吸い込めそうな大型店 ・汗)
いちおう、飛騨牛(カレーとか、鉄板焼きとか・・・) ・・・C/P期待値ゼロ、でしたが、ハイ、予想通り(爆)。それでもこの辺は食べるところにも、ちょっと立ち寄るところにも苦労する山奥ですので、まあ、多少は仕方がないかな。しかし私以外家族はみんな肉好きなので、不満は出ません(笑)
(高山まで降りていけば、本格的なシャルキュトゥリー・キルノンチュエ(おフランス語よ!過去記事はコチラ))や、パン好きが憧れるというトランブルー(まだ未開拓)、それにフラっといったイタリアン、アルティジャーノも、野菜のビュッフェが新鮮で、カジュアルだけど良かったなぁ・・。やるな~高山!
しかしランチ後、チェック・インまでまだまだ時間があり、この日も猛暑だったので高齢の両親を歩かせたりするわけにもいかず、フラっと宿近くの一見こだわってそうなカフェ(喫茶店?居酒屋)に入って珈琲タイムしたんですが、露骨に観光客ギライ?の雰囲気を出されてそうそうに追い出されたという・・・。名前は書きませんがこの界隈にそういう今時めずらしいカフェがある(男性店主)ことだけは書いておきます。この店、食べログにも似たようなコメントがあります・・・そうだろうなぁ・・
穂高ロープウエイとか、この辺の観光地はほとんど行き尽くしてるし・・・ということで路頭に迷う、妙齢?グループ・・・(^^ゞ。わざわざ少し離れた道の駅などに行ったりして、ようやく(涙)14時55分、ようやくちょっと早めに宿にチェックイン出来ました。そもそも家から近すぎるのと、山奥で何もないとこが敗因です。(小さな宿に付き?、ここも5分前まで門戸は完全シャット・苦笑)。
左下は「饗家の眠り歌」と称した、夏の音(虫の音とか、お祭りの音とか)を録音したオリジナルの再生機。お部屋に置いてありました。癒しグッズ。なかなかおしゃれです。
玄関はとても狭くて個人宅に招かれたような感じです。でも、失礼ながら田舎にしては内部は洗練されていて、お茶とお菓子でもてなされ一通りの説明を受けるチェックイン時、とても落ち着きます。一日五組だけ、ほかの客と遭遇する確率が低いせいもあり、この「落ち着き感」は、最初から最後までこの宿に漂う素晴らしさで特筆ものです。オーナーとおかみさんはまたまた失礼ながら訓練を受けた都会のホテルマンとは異なる、ちょっとぼくとつな方々ですが、素の感じが返って良いです。
(最後におかみさんとちょっとだけ例のカフェの話をしましたが、(年は私よりお若いと思うけど)お話が合いそうな感じがしました。でもイン・アウトの時しかお目にかかれなかったのが残念。
さて、そもそも温泉旅館に行くときは出来る限り一番風呂を狙い、早めのチェック・インを試みる私たちですが、5組だけの客に対して4カ所の貸し切り風呂(すべて内湯と露天付き)を有しているこの宿では、そうそう焦る必要もありませんでした。
ロビーに掛けてあるお風呂のキーは、あればそこに自由に入れます。ただ、チェックインから2時間ぐらいは混みあうため、フロントで管理されているので、そこに「告げて」キーを受け取るしくみ。四つの中で特に「陶の湯」は人気だそうですが、着いたそうそうどこかを長い時間占領することはできないというわけです。(家族でカギを回し使うなど・・禁)
しかし、以降お風呂が混み合う・かち合うこともなかったし、そもそも4つにものすごい差があるわけでもないので、結論から言えば不満のないお風呂と、そのしくみ。温泉通の父も立派な設えだと感心していました。
もちろん、最初に「陶の湯」を堪能。猛暑の真夏でまっ昼間なので、露天はそこまで気持ちよくはないけどね(笑)。その後もお風呂ざんまいでした!(4カ所制覇・笑)
私たちの部屋は二間続きでロフトもある「203 野あざみ」。ロフトは事実上使えないし、正直四人では「狭っっ」という感じは否めませんでしたが、特に不満はありません。(そもそも少し廉価なプランなので、宿側からもその説明がちゃんとありました。)
さてさてメイン・イベントの夕食!!これが~~良かった・・・!!ほんとオーベルジュ!というだけのことありましたー。
左上:チェックイン時の宿からのおもてなし。普通に美味しいお茶とあんこ入りのお餅。 その次の画像からが夕食です。
まずは先付け、前菜?画像にないですが、最初に梅酒(発酵しているのか濁っている)が出てきます。 そしてかわいらしいプレゼンで地産のトマト、飛騨牛のロースト、アボカド、飛騨で作られたモッツァレラチーズ、アスパラ、胡麻酢、、ひとつひとつていねいで美味しい!
二皿目は飛騨サーモン(ます)の低温調理、かぼちゃのマッシュサラダ、碗豆のラスク はちみつマスタードソース。これもかわいらしくて、かつ美味しいです。 次がオクラのしんじょとアユ。(絶品!) 小さなおちょこに入って出て来たのはお造り。 イワナの洗いと胡瓜の昆布じめ。
これがこちらの「夏のスペシャリテ」だそう。アマゴの山蕗の葉つつみ焼き寿司!絶品。ほんとうに香り・酸味・塩味・甘味・食感、 アマゴの味、温度のあつあつほろほろ、どれをとっても一級品。美味しくてこれだけを食べにくる価値があります。全員大絶賛・感動ものでした! まだまだ続きます。
今回は少しお安いプランだったので、飛騨牛が半分、地元の豚ちゃん に差し替えられてます(笑)。(←もちろん予約時に説明されています。) でも、この豚さんが牛より美味しかったりして! 炭火焼、それからヤマメちゃん等川魚焼きは奥飛騨の宿の 定番中の定番なので (マジどの宿でも出てくるの!) 感動はありませんがこれもレベルは高かったです。
続いてとうもろこしの茶わん蒸し。シンプルで甘くて美味しい!ほぼプリンです。中にはズッキーニと白きくらげ。 そしてカラメルに見立てた焦がし醤油。お腹はちきれそうですが(^^;)、まだ出てきます。温物は枝豆団子、茄子、生湯葉、あんかけ黒コショウ風味。驚きはないけれどコショウは新鮮。これも美味しい。
最後のもち麦入りのもちもち生姜ごはんの塩梅も秀逸。 そのごはんに冷や汁かまたは山形のダシのように香味野菜を混ぜて食べるという趣向も ヤバいっ、ごはんがすすんじゃう、超危険!!(笑)
デザートはヴェリーヌ仕立て(下パンナコッタ)。そんな感じか(-_-;)、 と思っていたら、オーナーシェフ、エスプーマ機(!)を お持ちになって最後だけ個室にご登場いただけました(あわあわは桃味でしゅわしゅわ(炭酸)入り)。 ちゃんとサプライズ演出も心得てらっしゃる。
やっぱり最後までぼくとつな感じの方でしたが、 宿、食事、と、その手腕は確かな方です。 なお、給仕の女性の方からお聞きした話では、オーナーの他に今は料理をする方が別にいらっしゃるとかで そうと思われる方に最後、美味しかったこと御礼を申し上げたら、 腰の低そうな素敵な方でした。
さてさて、それでは引き続いて、朝食です!
右下はお夜食で部屋に置かれていた、イワナ寿司。これも◎<・・・でもお腹が一杯で食べられない・・・
いろんなとこに行ってると、夜はそこそこ良くても朝は手抜き、という宿にもたびたびでくわすけれど、一切手抜きなしでした。 しかも材料も良く、いくら宿だからと言って365日、 このレベルをこんな小さな宿で保ち続けているのは驚異。
朝ごはんは家庭料理の延長のような郷土料理も出ますが、 全てがワンランク上、という感じです。
アユの一夜干し、きのこたっぷりのお味噌汁は鉄鍋で、 手作りの豆腐、飛騨産の温泉卵、お浸し、煮物、 ゆり根とささみの梅肉和え、 ベーコン、にんにくの芽、サツマイモの塩麹炒め、 奥飛騨山椒入り朴葉味噌、 それを限定有機栽培のこしひかりにのせて食べる(危険・笑)。
左下のごへいもち(郷土料理)が、うかうかしてると串から 落ちてしまいそうなやわらかさ。あぶらえ(えごま)入りなのですが、 外は香ばしく、焼リゾットみたい? 中はふわふわです。 お土産屋さんのごへいもちとは別物でこれも感動もののおいしさでした。
季節で献立は変わるようですが、連泊したらどのようなお料理を 出して頂けるのか?、とても興味がわきました。 いや、連日同じものでもいいぐらいです。 是非今後も頑張って頂きたいなぁ、てか、季節ごとにまた来たいです。
両親も大満足でした。ありがとうございましたm(__)m。
もともとはペンションのようなところをリノベしたり、 食事処は古民家を移築したりして敷地を繕ったようですが、 そういう意味では長座さんなんかと比べると せっかくの山の中なのに、風情の点で弱いのは否めません。 しかし、お風呂よし、食事よし、価格もすこーしリーズナブル?で じゃらんにハイクラスとは書いてないけど(笑)、 私はこちらを断然おすすめします。
(アトモスフィアも大事な旅の要素なので、長座さんも素晴らしい宿 ですが、料理に限っては長座より上、断言します。)
全国まだまだ良い宿がありそうです。 お金貯めなくっちゃ!!!(笑)
お読み頂き、ありがとうございました。